看護師の夜勤の仕事の中には、ラウンド(巡回)というものがあります。
ラウンド(巡回)とは、消灯後に入院している患者さんの病室を周り、異常が無いかどうかを確認する仕事です。
新人看護師さんは、先輩看護師がラウンド(巡回)で、どんな事を確認しているのか気になりませんか?
きっと、一緒に夜勤をしている先輩に「異常の有無」を報告しなくてはいけないと思うのですが、異常の有無はどんなことで判断しているのかな?という事をお教えしますね。
ラウンド(巡回)で確認するべきこと
- まず第1に生存確認
- 体調不良・気分不良の有無(病状の変化や異常の有無)
- 転倒・転落の有無・所在確認
- 点滴の確認
- 体位変換(オムツ交換)
主に、この5つを確認しましょう。
では、詳しくご紹介します。
Contents
ラウンド(巡回)で確認するべきこと
生存確認
当たり前のことですが、言葉にするとビックリですね。
まず、第1に大切なことは、患者さんが「いつもと変わらずに居る」ことなんですね。
患者さんがそこに居るか、寝ているか、痛がったり眠れなかったりとの異常があるかどうかということを確認するのですが、正常に呼吸をしているかという観察が大切です。
そんなこと!?と思いましたか?
暗闇の中でベッド上で静かに寝ている患者さんが、きちんと呼吸をして生きているかということを、目で確認する。=「患者さんを起こさずに呼吸状態を観察する」って意外と難しいです。
寝息を立てている人や、ラウンド(巡回)のタイミングで寝返りをしてくれる患者さんはとても分かりやすいです。
でも、冬など、掛布団をしっかりと羽織って寝ている場合は、呼吸してるよね!?と確認するのが難しいことも多いんです。
ラウンド(巡回)中に、具合が悪い状態を発見できたら、素晴らしいし、ラッキーです。
ラウンド(巡回)時に、呼吸が止まっている状態を発見した時のパニックは経験したくないものです。
しっかりと、体調不良の前兆などを見逃さないように、「生存確認」しましょうね。
体調不良・気分不良の有無(病状の変化や異常の有無)
所属している病棟によって、患者さんの病気の様子が違ってくるので、一概には言えないのですが、病状が悪化しそうな患者さんを事前に予測しておくことは大切です。
例えば…
- 術後なら、痛みが出てくるかもしれない、発熱するかもしれない。
- 化学療法後であれば、副作用が出現しやすくなる時期。
などは事前に予測できることです。
患者さんの変化を予測して観察することができれば、慌てずに対応することができますね。
それでも、予測の上をいく変化をしていくのが、患者さんでもあります。
苦しそうにしていたり、自分なりに「おかしいな」「どうしたのかな」と思う事があれば、寝ているように見える患者さんでも、声をかけて、異常の有無を確認しましょう。
意外と言い出せずに、明るくなる朝を待っている患者さんはいるものです。
患者さんを起こさずに生存確認をすることは大前提ですが、異常の発見時には、その優先順位は異なりますので、遠慮なく、患者さんの安全を守る行動をとりましょう。
転倒・転落の有無・所在確認
患者さんが、ベッドの上で寝ていてくれれば、この項目はOKです。
ラウンド(巡回)に行ったらベッドから落ちていたのを発見した、なんて事にならないようにしたいですね。
その為には、ナースステーションに居る時にも、小さな音にも敏感になる事が大切です。何かが落ちる音がしたり、聞きなれない音がしたら、その音の原因を探るために、ベッドサイドに行ってみるようにしましょう。
ラウンド(巡回)の時に、ベッドに患者さんが居ない事もあり得ます。患者さんはトイレに行ったりしますからね。
ラウンド(巡回)の時に不在だった患者さんは、ラウンド(巡回)の最後にもう一度ベッドサイドを訪れてみたり、トイレの明かりを確認してみたりして、病棟内に居ることを確認しておきましょう。
考えたくはないですが、「離院」していた時、最後に患者さんの姿を確認した時間などがとても大切になってきます。
点滴の確認
これまでの、患者さんが無事で居ることを確認できたら、周囲のことも確認していきましょう。
薬品などの間違いを防ぐために、6Rを必ず指差し呼称で確認しましょう。
6Rとは?
- 正しい患者(Right Patient)
- 正しい目的(Right Purpose)
- 正しい方法(Right Route)
- 正しい時間(Right Time)
- 正しい薬(Right Drug)
- 正しい量(Right Dose)
- 点滴が本人のものか(点滴ラベルと患者名が合っているか)
- 医師の指示内容と一致しているか
- 点滴の残量の確認と、滴下スピードは合っているか
- 次は何時に交換予定か
- 途中でライン(管)が折れ曲がったり、接続が外れたり、絡まったり、血液が逆流したりしていないか
- 点滴刺入部が腫れたり、発赤したり、濡れたりしていないか
- 固定がきちんとされているか
点滴ボトルから、患者さんの点滴刺入部までを上から順に確認していくと、確認の漏れがなく、行えます。
文字にすると、沢山に思えますが、慣れてくるとこの点滴の確認は、一連の動作として実施する事ができます。
ほんの一瞬でできるようになりますよ。
新人看護師のうちは、時間がかかっても、大丈夫です。
昼間から練習しておくことが大切です。
慣れる為の練習なので、丁寧に練習を重ねましょう。
ラウンド(巡回)の時には、暗闇の中でこの一連の確認項目を観察しなくてはいけません。
途中でライン(管)が曲がっていたり、患者さんの下敷きになっているのを発見した時には、患者さんを起こしてでも、「正しく点滴を投与できるようにする」事が大切です。
体位変換(オムツ交換)
最近は、2時間おきのオムツ交換は体位変換はあまり推奨されなくなりました。
2時間おきに起こされる患者さんの不眠・断眠が問題になっているからです。
夜用の吸収性の良いオムツを使用して、オムツ交換の頻度を下げることが行われているかもしれません。
自動でベッドのマットレスの空気圧が変化して、体位変換と同じ様な効果があるマットレスも開発されてきています。
患者さんの状況によることは大前提ですが、ラウンド(巡回)の時に、必要な患者さんへは、体位変換やオムツ交換をしてあげましょう。
ラウンド(巡回)の頻度
働いている職場によると思いますが、ラウンド(巡回)は、大体2時間おきに行われます。
病床数にもよりますが、新人看護師の時には、一通りのラウンド(巡回)を終わらせるのに、30分以上かかることも珍しくありません。
慣れてくれば、必ず時間の短縮はできますので、新人看護師の時には丁寧なラウンド(巡回)を心がけましょう。
ラウンド(巡回)時の注意点
当たり前かもしれませんが、ラウンド(巡回)は、患者さんが寝ている時に行われます。起こさないようにする、睡眠を妨害しない事が大切です。
ライトの当て方
呼吸状態などを観察したい為に、患者さんにライトを当ててしまうと、患者さんが起きてしまいます。
ライトの当て方のコツは、
- 天井に向けてライトを持つ(上向きに持つ):天井全体を明るくすることで、その反射の明るさで患者さんを観察しましょう。
- 患者さんにライトを当てる時には、足元に当てる:顔や胸にライトを当ててしまうと高確率で覚醒させてしまいます。
- 点滴の確認時などは、ライトを手で覆って、薄明かりにして、文字などの確認をしましょう
自分が観察しやすい明るさは、寝ている患者さんには眩しすぎます。
おススメのライトについてはこちらの記事を見てくださいね▼
音を立てない
患者さんは睡眠中ですので、起こさない事が大切です。
- 足音:自分の足音に関して、意外に把握できていないものです。可能な限りドタバタを走らずに、忍び足を心がけましょう。病棟の廊下と相性のいい、音の出にくい靴を探すのもいいかもしれませんね。
- ドアの開閉:個室など、ドアが閉まっている場所にラウンド(巡回)する場合は、ドアの開閉の音で患者さんが起きてしまう事が高確率であります。そーっと行いましょう。
- カーテンの開閉:プライバシーを守るために使われているカーテンですが、「シャッ!」と音を立てていませんか?カーテンを持ち上げるように、そっと取り扱うようにしてくださいね。
ラウンド(巡回)後の看護記録
記録の簡素化が言われていますが、記録に残っていない事は、観察していないこと、やっていないこと、と判断されてしまいます。
記録に残っていない = 観察していない・やっていない
病状や身体への異常があった場合には、必ず看護記録に残しておくようにしましょう。
まとめ
新人看護師さんがストレスと感じる事は沢山あると思いますが、その中でも「夜勤」は大きなストレス要因ですね。
そんな夜勤の大切な業務である『ラウンド(巡回)』についてまとめました。
ラウンド(巡回)で確認するべきことは
- まず第1に生存確認
- 体調不良・気分不良の有無(病状の変化や異常の有無)
- 転倒・転落の有無・所在確認
- 点滴の確認
- 体位変換(オムツ交換)
でした。
新人看護師さんには、一緒に夜勤に入ってフォローしてくれる先輩看護師がつくと思います。
自分自身が感じた、考えた「異常かもしれない」と思う事は、どんどん報告しましょう。
ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)が大切です。
夜勤の過ごし方について、こちらも参考にしてくださいね▼